- 体には本来体を平穏に保つための力が備わっています。しかしその機能のバランスが崩れたり、特に近年の生活でさまざまなストレスにさらされている中その機能を保つことは難しくなってきております。
その中で薬は当然無視できないものであります。しかし使い方を間違えるとプラスに働くどころか体に深刻な影響を与えることがあります。
われわれ薬剤師は少しでも薬の力を発揮できるよう、皆様の健康に寄与できるよう精進しております。是非われわれ薬剤師にご期待ください。
添付文書(能書)などをかならず読もう。まず、使用する薬について十分理解しましょう。そのために、薬を薬局などで買うときは、その薬の使い方、使用上の注意などについて説明をしてもらうことはもちろんですが、薬を使用する前に、容器や説明書に書かれていることをよく読むことです。
添付文書(能書)などには、用法・用量。効能・効果などのほか、使用上の注意、副作用が記載してあります。
わからない点、不安な点があったら、薬局の薬剤師にたずねてから使用しましょう。
また、病院、診療所などでも、薬を受け取るときには、薬袋に使用方法などが書かれていますが、わからないことは遠慮せずにたずね、使い方や使用上の注意などをよく理解してから持ち帰りましょう。
薬の作用は、使用量と深い関係があります。用いる量によって、まさに薬になったり、また、毒にもなります。そこで、薬としての効果を十分発揮させ、しかも副作用が最小限になるよう適正な使用量がそれぞれの薬に定められていますので、その用法・用量をかならず守りましょう。
薬は、それぞれ定められた時間に飲まないと効果がなかったり、副作用を生じることがあります。 薬の服用については指示のうち、食前、食後、食間とは次のようなことをいいます。
・食前: | 胃の中に食べ物が入っていないとき。(食前1時間~30分) |
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・食後: | 胃の中に食べ物が入っているとき。 (食後30分以内) |
・食間: | 食事と食事の間のことで、たとえば朝食と昼食の間。(食後おおむね2時間) ※食事中に服用するということではありません。 |
薬を併用すると、お互いの作用が弱くなったり、強くなったりして期待する効果が得られないことがあります。また、思わぬ副作用が現れたり、適切な診療のさまたげになることがあります。他の病院、医院にかかる時、今飲んでいる薬がある場合は必ずそのことを医師や薬剤師に伝えましょう。
最もこわいのは乳幼児・小児の誤飲です。そのおそれのある場所に薬を放置しないように注意しましょう。
不要の薬をすてるときも子供の目に触れないように処分することが大切です。
万一誤飲した時には、すぐに医師に処置してもらいましょう。
薬は湿気、光、熱によって影響を受けやすいものです。栓を固くし、直接日光にあたらず、暖房器具から離れた場所に保管しましょう。
薬は、農薬、殺虫剤など他のものと一緒に保管してはいけません。
また救急箱の中も内服剤と外用剤とを分けて納めておくと、誤用を防ぐとともに薬を捜す時にも大変便利です。
薬には有効期限が表示されているものがあります。
期間を過ぎたもの、古い薬や外観に異常があるような薬は使用しないようにしましょう。
薬を使い古しの他の容器に入れかえることは、内容や使い方がわからなくなり、誤用や事故のもとになります。
くすりは病気を治すため、あるいは予防するためにという目的が決まっております。
一方、一般的によく言われている「健康食品」というものがあります。 このいわゆる健康食品というのは正確な定義があるわけでなく、一般的にふつうの食品よりも「健康に良いと称して売られている食品」を指す場合に使われているようです。
従って、くすりと違うことは、病気の治療や予防に使われるものではありません。 気をつけていただきたいのは、
医薬品=副作用があり危険! 健康食品=副作用が無く安全(どんな摂取方法でも) と言う風潮があることです。
健康食品と言っても、もし身体に対する何らかの作用があるとするならば、摂取方法によっては好ましくない作用が生じても不思議は無いのです。 また、医薬品は薬事法に基づいて含まれる成分などについての管理を厚生労働省が行いますが、食品は薬事法に基づく管理は行われません。過去において「いわゆる健康食品」に含まれる不純物などにより健康被害が生じたり、誇大な広告により惑わされたりした経験から、一定の条件を満たした食品は、ある程度の「効能・効果」のような表示をしても良いと言う制度が作られ、これを、保健機能食品制度といいます。
以下にその条文と医薬品との関係の図を記します。
- 従来、多種多様に販売されていた「いわゆる健康食品」のうち、一定の条件を満たした食品を「保健機能食品」と称する事を認める制度で、国への許可等の必要性や食品の目的、機能等の違いによって、「特定保健用食品」と「栄養機能食品」の2つのカテゴリーに分類される。
- 身体の生理学的機能や生物学的活動に影響を与える保健機能成分を含み、食生活において特定の保健の目的で摂取をするものに対し、その摂取により当該保健の目的が期待できる旨の表示をする食品である。
- 個別に生理的機能や特定の保健機能を示す有効性や安全性等に関する国の審査を受け許可(承認)を得なければならない。
- 身体の健全な成長、発達、健康の維持に必要な栄養成分(ミネラル、ビタミン等)の補給・補完を目的としたもので、高齢化や食生活の乱れ等により、通常の食生活を行う事が難しく、1日に必要な栄養成分を摂取出来ない場合等に、栄養成分の補給・補完の目的で摂取する食品である。
- 国が定めた規格基準に適合する必要があり、その規格基準に適合すれば国等への許可申請や届出の必要はなく、製造・販売する事が出来る。
高齢者は身体的、精神的にも若年時に比較し衰えがあらわれてきます。
身体的には加齢による変化の第一は、からだの各部分が小さくなることです。
これは、からだを作っている細胞の数が減少してくるためです。
内臓の中でも肝臓や腎臓などは小さくなりますが、特に一番小さくなるのは筋肉です。
筋肉量が減るため高齢者は、足腰が弱り動作がにぶくなります。
このため、ちょっとした段差などで転倒しやすく、骨折したり、大きな怪我につながりやすいのです。
また、水分が失われて「しわ」が増し、下痢の時にはすぐ脱水症になりやすくなります。
一方、老化に伴い臓器の働きが徐々に低下していきます。
感覚器官の場合、視力、聴力の低下は広く知られているものですが、味覚や触覚なども鈍ってきます。
また、内臓器官では呼吸器、腎臓、心臓、神経の働きが次第に低下します。
人は加齢とともに内蔵機能が低下してきます。この現象は、個人差はありますが、各臓器とも見られるものです。
一般的に医薬品等を服用した場合、吸収→分布→代謝→排泄というプロセスの課程で医薬品としての効果を発揮します。
このように、各臓器の機能が低下したことによって医薬品の作用が強く現れたり、長時間にわたり効果が続いたり、副作用が現れたりすることがあります。これらの現象は、人により臓器の機能低下がまちまちですので、医薬品の作用の違いもまちまちになります。残念ながら、これらの機能低下に伴う医薬品の効果に対する影響について、現段階では全ての医薬品について解明されている訳ではありません。従って、医師や薬剤師相談しながら医薬品を使用し、快適な生活を送れるようにお薬とつき合うことが最適です。
赤ちゃんには1日に何度も授乳します。少し大きくなっても食事の時間は一定していません。そうすると「1日3回食後服用」という指示では、不適当な場合があります。 子供の薬は、ほとんどが胃に対する負担はそれほどありませんので、食事をしたかどうか食事の前か後かということは、あまり気にする必要はないのです。それよりも朝起きてから寝るまでの時間を均等に分けて薬を飲む間隔を一定にするやり方をおすすめします。
- ・スプーンやスポイトでほほの内側に落として少しずつ飲ませる。口直しに水やぬるま湯を飲ませます。
・哺乳瓶を使って飲ませます。 - ・薬を少量の水やぬるま湯に溶いて、ペースト状にしたものをきれいに洗った手で頬の内側やあごにこすりつけて飲ませます。
・それでも飲まない場合くすりに砂糖を混ぜてみます。
・輪切りにしたバナナの間に薬と砂糖を混ぜ合わせたものをはさみ、スプーンでつぶしそれを少しずつ頬の裏側などにぬりこむ。
・アイスクリームに混ぜて少しずつ飲ませる。(冷たいものと一緒に飲ませると、くすりの苦味に鈍感になります) - ・水、又はぬるま湯と一緒に飲ませます。
☆この時、お子さんを座らせた状態で飲ませてください。(寝かせたままで飲ませると窒息する恐れがあります)
☆ 飲んだ後、口の中に錠剤が残っているかどうかチェックしてください。(まれに口の中にそのまま残っていることがあります) - ・入りにくい場合、水で少し湿らすとすんなり挿入できます。夏場の保管は冷蔵庫に入れておくと使用しやすくなります。
- ・主食であるミルクに混ぜたり、乳首の先につけたりして飲ませてはいけません。
ミルク自体が嫌いになってしまうことがあります。
・内服薬を飲ませる時、赤ちゃんの手足を毛布でくるみ、しっかりと抱きかかえホッペをおさえて口の中に入れるようにするとよいです。
・病院で処方された薬は、必ず処方通りに飲んでください。親の判断で病気がよくなってきたからいって飲むのを止めたら、症状がまたでてきたりする場合があります。
・いつまで飲むのか、どのように飲むのか等、薬剤師にきちんと確認してください。
飲ませ方等、お子様のお薬に関する質問はお気軽に薬剤師にご相談ください。
薬は、人の生理作用に影響を与えます。
この作用は病気の状態を正常な状態に整える手段として使われますが、時に正常な生理活動にも影響を与えることがあります。つまり、医薬品は病気の状態を治すためのものですが、それ以外の作用も出現してしまうことが多くあります。
このように期待しない作用や、予期しない医薬品の作用を副作用といいます。
副作用は、人によっては意識されないほど軽いものから、人を死に至らしめる重篤なもののように、副作用の強さが違います。又、副作用の出方が同程度でも人が生活する上で影響の度合いが違う場合があります。
例えば、多くの風邪薬に含まれている抗ヒスタミン剤は眠気という副作用があります。しかし風邪をひいているときは十分な睡眠を取り、ゆっくりと体を休めることが必要であることを考えると、休める人にとっては良い副作用かも知れませんが、受験生や交通機関の運転手などにとっては重大な副作用に感じるはずです。
また、抗ヒスタミン剤には、抗コリン作用という作用もあります。この作用によって鼻水を止めたりしますが、のどが渇いたりすることがあります。
一般的にはたいした副作用ではありませんが、元々唾液の分泌が少ない人や、一部の緑内障の人、前立腺が肥大している人などにとっては、本来の病気に対し悪い影響があります。
このように、医薬品は多くの作用を持っております。 薬を使う時は、その薬の主な作用を使って病気を治しますが、人によっては有害な作用として出てしまうことがあります。これらの副作用は人によって発現の程度も重要度も違っています。 又、その薬を飲んでいる間だけ出る副作用は、我慢できるような副作用でしたらその期間だけ注意すれば良いのですが、一生残ってしまうような重篤な副作用もごく希にあります。
医薬品を使用するときは、薬剤師や医師に相談しながら使うことが大事です。
お薬をより安全かつ有効に使用していただくために、市販薬を買う前・処方箋の調剤を依頼する前に伝えるべきことや、それらの薬を受け取るときに確認(質問)すべき内容をいくつか挙げてみたいと思います。
- 1, 特異体質(アレルギーなど)のある方
2, 過去に副作用を経験している方
3, 肝臓など、薬を代謝する臓器に疾患のある方
4, 他に薬を飲んでいる方
5, 他で治療中の方
6, 妊娠中・授乳中の方
7, 仕事や生活上で特別の環境にある方(高所での作業をされる方、車をはじめとして日々運転に携わる方) - Q1, この薬の名前は?
Q2, 何に効くの?
Q3, 服用するときに注意することは?
Q4, 副作用は?
Q5, 他の食べ物との飲み合わせは?(相互作用) - 1, 何を服用したのか
2, どのくらいの量服用したのか
3, どのくらいの期間服用したのか
4,どのような症状が出たか
上記の内容をわかるようにしておきましょう。
薬物療法の意義とともに医薬品そのものの知識など薬物療法に関する必要な事柄を認識すること。
すなわち薬識の向上のお役に立てるよう薬剤師は、薬を受け取るときに大切な5つの質問をご提案しています。
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